BackStage レビュー

ブランド TJR(THE JOLLY ROGER)
発売日 2008-08-08
原画 タコ焼き , 星崎ひかる
シナリオ おるごぅる , はね
歌手 柚木まき(主題歌「BackStage」)
声優 中島れおな(久瀬 安美) , 黒川百合(上山 ゆとり) , 白石めぐみ(二ノ宮 アリス) , 真宮ゆず(水鏡 沙織) , 猫村天(水鏡 京香) , 越田直樹(ミスターシン) , 柚季(マネージャー)
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シナリオ:23/30
最初はこのゲーム面白くないって思ってたのに、気づいたらこのゲームが大好きになってました。
"現在"を生きる若者の、"これから"と、起点となる青春の日々、その舞台裏。という感じの。
全体的に地味です。でもいいんです。地味だからこそ、このbackstage(舞台裏)を通した成長物語が描けたのだと思いますしね。
なんでしょう。いわゆる埋もれてる良作というやつでしょうか。でも、プレイし終わった今だから言いますが、なんとなく埋もれるのも分かります。だってすごく地味ですもの!w

シナリオそのものは普通です。質としては並程度。けれど、個別ルートが長めに尺が取ってあり
おおよそ3〜4時間程度でしょうか。天守物語というマルチエンディングのような、JDSの作品が変わらないにもかかわらず
あまり飽きずに読み進められた、というのはなかなかすごいことだと思います。
わたしはマルチエンディングが嫌いなのに、これは面白いって思えました。そういう意味でも、すごいなって。思います!w

シナリオのテーマ。それはやはり前述通りの「青春、その裏側」と言ったところでしょうか。
舞台を通して、演劇を通して、人として成長する。若者の"現在"を描き、そして、これらの経験を元に
どのような形で成長して、どのような形で社会へ、夢へ進出するかを描いた、"これから"への物語でもありました。
成長の形はキャラクターによって違いますが、苦手意識の克服、芸能を続ける意味、などなど。
問題を乗り越えてすぐにくっつく、みたいな、そういう安直さがなかったところも評価出来る点だと思います。
例えば公子エンドで公子が「私が京都に行ったら、ついてきてくれる?」という質問に対して「いや、それはない」と即答できるコーメイ君とか。そう、それでこそコーメイくん。ホントは公子のこと好きで好きでしょうがないけど。自分と、そして公子の夢、目標に対してそれを天秤にかけず。まっすぐ貫くところは貫くような。そんな姿勢。すごく好きでした!w
安美エンドでもそう。ああやって、自分の夢に進んでいけるような。そういう描写はすごく好きなので、いいものを読んだという感覚がありました!w

このゲーム、わたしは最初すごく嫌いと言うか、苦手というか。そう、苦手でした。もやもやしてました。
というのも主人公のコーメイ君の態度。自分が経験者であるために、自分がうまく立ち回らないといけない。
いえ、違いますね。"うまく自分がフォローしてやってやっと回ってる"という、どこか経験者特有の上から目線と言うか
素人集団の中で、常に自分は高みにいて。どこか俯瞰しつつ、それでいて素人が全然演技ができないところに一人で腹を立ててるような。
そんな主人公像に見えて、ぜんぜん好きになれませんでした。結局、それも京香さんが描いたシナリオであったわけですが!w
一皮むけたコーメイ君はステキな主人公になって。それに伴って周りの雰囲気もだんだん良くなってきて。読んでるこっちもその雰囲気に飲まれるような。そんな感じで、世界観にゆっくりと浸かっていったような気がします!w

おるごぅるさんの変態テキスト(褒めてます)も健在です。相変わらず、この人はエロシーンになると妙にテキストがイキイキするような気がします。気のせい…ではないと思います!w
反面、もう一人のライターのはねさんはそうでもないのか、というと。そうでもなく。こちらのライターさんも結構いい仕事してたと思います。エロシーンでのそれは流石におるごぅるさんのほうが変態的なのでしょうがないのですが(?)
日常でもギャグやシナリオそのものなどは、それなりに比肩していたのではないでしょうか。いわゆる、○○に比べると微妙。みたいな。そういう感覚は特に抱きませんでした。確かにバカで面白いのはおるごぅるさんの「ゆとり」「公子」「安美」シナリオなのですが、静かにじんわり面白い「京香」シナリオも好きですし、ドタバタ空回りしながらもしんみりな「沙織」シナリオも好きでした。

このゲーム、とにかく地味ですが、面白いです。なんといいますか、じんわりと染みる。煮物みたいな面白さ(?)があります。
合う合わないもかなり出てくると思います。少なくとも万人受けはしないんじゃないでしょうか。それならワゴンに転がってたりしませんか…w
ただ、わたしはこのゲームを面白い、と言えますし、非常に好きなゲームの一本になったと思います。
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テキスト:9/10
おるごぅるさんのテキストは抜群に面白かったです。
はねさんのテキストも結構ギャグが面白くて良い感じでした!w
序盤が不気味なほど場面のテンポがいいんですよね。なかなか不思議な感じでした。
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ヒロイン・サブキャラクター:9/10
まず嫌いなキャラクターが居ない、という地点でこの手のゲームとしては非常に好感が持てました。
どうしても地味でゆっくりしてて流れも一辺倒なゲームなので(JDSというエンディングがあるので)
嫌いなキャラクターがいたら読むのがかなり苦痛になっていたと思いますが、そんな点がなかったので!w
最初はゆとりがキャラクター的に合わなくて、あの計算されてるような天然さにイライラしたりもしたのですが、個別ルートに入ると……w
他のキャラクターも持ち味を生かして、どのキャラクターも可愛さ全開でした。沙織ちゃんとかちょっとKYキャラだけど
その暴走ぶりが他のルートでもライターが違っても失われてなくて、いい感じでしたし
京香さんはもっと個別ルートに入ってから「よし、よし」してくれてもよかったなーって思いながらも…w
公子はルートに入ってからびっくりするほどデレて。典型的なツンデレキャラかと思ったらデレデレキャラで可愛かったです!w
安美はどっちかというと安美におもちゃにされるコーメイくんのほうが可愛かったです

サブキャラのカジーはかなりいいキャラで。びっくりです。理想の親友キャラって感じでした。
公子エンドで、彼はどこまで芸能界で登り詰めるのか。頑張って欲しいなぁって思える。いいキャラクターでした!
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主人公:8/10
最初はもうこれは目も当てられない主人公だなーって思ってしまったのですが
それは孔明コーメイの罠でした!成長してめちゃくちゃいいオトコになります!w
なんというか、決して完璧な人間ではないけれど。役者バカで。筋をキチンと通すような。
それでいて皆の雰囲気を良くすることにも努め、時には憎まれ役も買って出て、ノリもよく
一言で言うと、「リーダー」って表現が適切かなぁ、って思える主人公でした。ステキです!w
ライターさんの関係も相まってかかなりえろえろですが…w
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音楽・声優:6/10
声優さん。正直なところ声優さんに関してはほとんど誰も知らないようなキャスティングで
最初は大丈夫かこれ…?w と思ってしまったのですが、わたしがバカでした!w
実際に聞いてみると、あら不思議。いいキャスティングです。沙織ちゃんとかゆとりとか。すごいなって。
よくよく考えると、このゲームのコンセプトである「少し技術のある素人集団を集めて舞台を作る」という点とマッチしてるような気もします。あまり知名度のないメンツで固めてひとつの作品を作り上げる(演じる)という点ですね。偶然だと思いますが…w

逆に、音楽はなんというかびみょーな感じでした…w
BGMはどれもこれも、やっぱりシナリオの題材同様に地味なものが多く、特に耳に残るものもない気がします
良かったなぁ、と感じたのが「素敵な仕掛け」ぐらいでしょうか。
OPの「BackStage」ですが、さっぱり印象に残らないです!w ここまで特に印象が残らない曲ってのも逆にすごいです
ムービーもパッとしないというか、やっぱり地味です……w
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グラフィック:12/20
グラフィックも、というか塗りが全体的に地味なので(このレビューで何回地味って単語使ったか数えたくないです)
どうにもパッとしなかったです。個人的にはこれはこれで好きなのですが。どこかツヤツヤしてる感じの塗り方が好きです。
あとCGの枚数が少ないのが気になりましたね。Hシーンを覗くと、各ヒロインのCG平均枚数が6枚ぐらいしかないです…w
あと、メニューバーやメッセージウィンドウ全般ですが、なんだかシックな雰囲気というか、古臭いというか、余計に地味さを誘ってる一端になってる気がします…w
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演出:1/5
演出はイマイチだったと思います。演出家までチームにいる題材なので、もうちょっと頑張って欲しかったように思えます。
というのも、やはり天守物語はどうしても同じようなテキストを読むので、3回目ぐらいになるといい話でも飽きます!w
なので、もう少し流れに変化をつけたり、カットインなどで演出強化を図ったり、工夫が欲しかったかなぁって思います。
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システム:2/5
気になったのがバックログの使いづらさですね。場面が切り替わると、ログも一新されてしまうので、ちょっと前のテキストを読みたいって時に不便でした。
また、終盤の天守物語での差分の既読スキップが働かなかったのもちょっとなぁ…って思いました…w
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総評:69/100
好き嫌いは分かれますが、合う人にはかなり合うゲームだと思います。わたしは合いました。ガッチリです。
ワゴンの中にこんなものが転がってたなんて!w
ただ、やはり全体的に見て地味なところが多いですし、どうにもパッとしません。すごいお金かかってない感じがあります。
おるごぅるさんのバカテキストが読みたい!
という意味では、このゲームは間違いなく「買い」と言えると思います。お勧めです!w

BackStage 初回版
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