翠の海 -midori no umi- レビュー

Cabbitデビュー作「翠の海」応援中!

ブランド Cabbit
発売日 2011-10-28
原画 さえき北都 , ゆき恵
シナリオ 御厨みくり
音楽 MANYO
歌手 霜月はるか
MAMI(柳麻美)
声優 金田まひる(紡) , 羽高なる(みちる) , 小倉結衣(知紗) , 手塚りょうこ(沙羅) , 鈴谷まや(空音、陸乃) , 霧島はるな(水無月じゅん)(真希奈、拓真) , 桃也みなみ(灰奈) , 川居由芽(白羽) , 川中瀬奈(深雪) , 陵陵(優希)
その他 永月到(ディレクター)

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シナリオ:16/30
今年に入って買ったゲームの中でも「大失敗」の部類だと思います。
まずこのゲームフルコンプしたのですが、シナリオで何を描写したかったのかがわからない。
狂気にしてはあまりにも陳腐。サスペンスにしても、やはり陳腐。
サスペンスを期待してたので、ものすごく裏切られた感じがしました。すごい中途半端で消化不良。

シナリオの根幹になっている言動は二つ。現状を維持するために「狂う」のか、その体制を崩し「扉を開けるか」です。
この「狂う」側も描写が弱いんですよね。主人公が現実逃避というわけでもないんですが
楽園でうまく生きるための処世術としてそれを選択し、心を殺しながらどこか感情が磨耗する主人公の「狂った」と言える描写を描くにしてもテキスト力は追いついてないし…。
真希奈の配置は、狂ってしまったみちる側についてしまった主人公の、平静を装っていてもやはり異質な部分を描写するために
一般人であり過剰反応しているように見えつつもそれが本来の人間の反応である、というものを示すために配置されたキャラクターだと思うのですが
それも逆に、ああ死ぬために当て馬にされたキャラなのね。と考えるともんにょり。ポッと出てくるキャラクターなので感情移入も何もなく…。
しかもそれらを引き合いにしてみても特に狂ってるような気もしない。ここは「そういう場所」で既にそれが当たり前であると読み手は思ってると思うので
ただキャラクタを殺すだけでは狂ってるとは描写づらいと思います。

では扉を開ける選択。「外に出る」選択ではどうなのか。
やはりこちらも盛り上がらない。まず外に出ることがあまりにも容易すぎるわけです。
知紗BADのような展開があるからさぞサスペンス的なトリックでもあるのかと思えば別にそんなこともなく
双子ではあっさり外に出れ、どのルートでもだいたい沙羅さんすごいの一言で片付き、あまりにも調子はずれで
封鎖された森の中でも緊張感とかそういうものが一気に消し飛びます。
しかも知紗や陸奈と沙羅は時間が経過すれば脱出できるとかそれあんまりにもあんまりすぎません?って
そもそも閉鎖された洋館であるのに簡単に「外に出る」という選択肢が出てくるあたりもアレですよね。全然閉鎖感がない。うーん。

では改めて、このゲームは何を書きたかったのでしょうか。今でもわかりません。
題材が活かせてないのが残念。せっかくキャラクタが全員トラウマを抱えているのだから、もっと深みのあるシナリオが作れただろうし。うーん。
ある人が「翠の海はOPがクライマックス」と言ってました。本当にそうだと思います。OPまでは面白かったもの。
そういう点では世界観はすごくよかったと思うのに。もったいないですね。
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テキスト:5/10
これも問題でした。私が合わなかったんでしょうか。すごく眠い。
この手の作品は読み手をセカイに引きこむ必要があるので、テキスト力というのは重要になってきます。
が、私はまるで面白いとも思わず引き込まれる感じもせず、なんだかなぁって。
でもバカっぽいテキストというのか。あの辺りは妙に砕けてて読みやすかった気がします。
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ヒロイン・サブキャラクター:7/10
とりあえず双子が可愛かったので双子の話をしましょう。
どちらかと言えば陸奈ちゃんがお気に入りです。妹ロリばんざい!
お付きの沙羅さんもいい感じでババア可愛いギャップ萌えというやつでしょうか。
デレると空音ちゃんぺろぺろなのですがちょっと無駄にシリアスなのが。
みちるさんはメインとは思えない影の薄さシナリオ終盤でしか絡まないのでどうにも感情移入がしづらかったです。
灰奈さんはちょっと重いので傷痕が見えない着衣エロぐらいしてくれると助かったのですが。
知紗さんはこのゲームで一番の道化ですね。パンピー乙!!である立場だったのにどうしてこうなったのか。
救えないbadもあるし。でもtrue終盤での吹っ切れたバカっぽさは好きです。
でもなんだかんだいいつつ優希くんが一番可愛かったと思うんです。
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主人公:5/10
空気です。悪い意味ではないのですが。ヒロインが過去と葛藤してる時とかはいい感じの主人公です。
でもなぁ、基本的には回りに流され続けるタイプの主人公であんまり印象には残っていません。
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音楽・声優:10/10
声優は良かったです。音楽も良かったです。ここは評価できます。
バイオリンを用いたBGMが特に透き通るようなものが多く、どこか透明な感じのする世界観にマッチしてました。サントラ必聴。
作中でバイオリンの設定ほとんど意味なかった気がしますが
OPの「翼を持たない少女」もすごく良かったです。ムービーもかなりいい出来で。

このOP見たときはかなり高まったんですけどね……w
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グラフィック:16/20
背景はすごく綺麗でした。さえき北都さんの絵も良かったです。
さえき北都さんは「歪んだ笑顔」を書かせるとこう絵がイキイキしてる気がしますね!
背景もすごい綺麗でよかったと思います。
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演出:2/5

こんな演出がありましたが、これがいらないと思います。
クリックで飛ばせるのにオートモードは解除されないので、クリックして飛ばした文章とは別の文章まで飛んでしまって読みづらい…。
他は演出が弱いと思いました。特にスプラッタな部分が。エフェクトやカットイン入れるだけでだいぶ違うと思うのですが…。
あと無駄なBADいらないと思います。明らかに別に必要のないBADでただでさえ悪いテンポがより一層悪くなって中だるみしてました。
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システム:3/5
選択肢でロードを多用するのに、選択肢でセーブをする手順が面倒なのがストレスでした。
ほかは特に気になったものもなく。
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総評:総合:64/100
このゲームにサスペンスを期待すると悲惨なことになるので期待しないほうがいいと思うのですが、レビュー読んでる人はだいたいプレイし終わってると思うのでアレですね…。
絵も音楽も世界観もいいのに、シナリオが全力で足を引っ張って惜しいなって思いました。
OPに出会えただけでも価値があるような気もするのですが、このライターさんのゲームはもう買わないかもしれません。

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